年賀状の季節になると、その年の動物が話題になります。ねずみ、うし、とら――おなじみの十二支です。ただ、十二支という体系そのものは、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥という十二の記号を指しており、動物の名前だけでできているわけではありません。
これらの記号は、年はもちろん、月・日・時刻・方位を表すためにも長く使われてきました。この記事では、動物より前にあった十二支の姿と、時刻・方位・五行との関係を見ていきます。
十二支の一つひとつの字は、もともと現在の動物名を表す漢字ではありません。後の時代に、覚えやすい動物が順に当てはめられ、「子は鼠、丑は牛」という今の十二支像が広まりました。
十二支は、一日を十二の時間帯に分ける表現にも使われました。たとえば「子の刻」は真夜中を中心とする時間帯を、「午の刻」は昼ごろを指します。「午前」「午後」とい…
方位では、北を子、東を卯、南を午、西を酉とし、その間にも十二支を順に配置していきます。円を十二等分して、時計の文字盤のように割り当てるイメージです。
陰陽五行では、十二支にも五行を配当します。一般には、子と亥が水、寅と卯が木、巳と午が火、申と酉が金、丑・辰・未・戌が土と整理されます。
日常会話では「今年の干支は午」のように、十二支だけを干支と呼ぶことがあります。一方、暦の上での干支は、十干と十二支を組み合わせたものです。
01|動物より先に記号があった
十二支の一つひとつの字は、もともと現在の動物名を表す漢字ではありません。後の時代に、覚えやすい動物が順に当てはめられ、「子は鼠、丑は牛」という今の十二支像が広まりました。
ですから、十二支の由来を「十二匹の動物が競走して順番を決めた物語」だけで説明すると、説話と暦の体系が逆さまになってしまいます。物語は親しみやすい入口として楽しみ、記号としての用途は別に押さえておくとよいでしょう。
02|時刻を十二に分ける
十二支は、一日を十二の時間帯に分ける表現にも使われました。たとえば「子の刻」は真夜中を中心とする時間帯を、「午の刻」は昼ごろを指します。「午前」「午後」という言葉にも、この午の位置が残っています。
ただし、現代の二十四時間制に当てはめて一刻をきっちり二時間と考える場合は、その時代にどんな時法が使われていたかも合わせて確かめる必要があります。季節によって一刻の長さが変わる数え方もありました。
03|方位を十二に分ける
方位では、北を子、東を卯、南を午、西を酉とし、その間にも十二支を順に配置していきます。円を十二等分して、時計の文字盤のように割り当てるイメージです。
この仕組みから、北東を「丑寅(うしとら)」、南西を「未申(ひつじさる)」と呼ぶ言い方が生まれました。鬼門・裏鬼門の説明に十二支が出てくるのは、このためです。
十二支は年だけでなく方位にも配当され、北東の丑寅・南西の未申といった表現にもつながります。
北を基準に十二支を方位へ配置します。
東の位置を卯が担います。
南の位置を午が担い、「午前・午後」の語にも痕跡があります。
西の位置を酉が担います。
04|五行はどう割り当てられるか
陰陽五行では、十二支にも五行を配当します。一般には、子と亥が水、寅と卯が木、巳と午が火、申と酉が金、丑・辰・未・戌が土と整理されます。
これも、動物の性格から五行が決まったわけではありません。暦と方位と五行を重ね合わせた体系として理解すると、土が四つある理由にも見当がつきます。
05|「干支」と十二支は同じか
日常会話では「今年の干支は午」のように、十二支だけを干支と呼ぶことがあります。一方、暦の上での干支は、十干と十二支を組み合わせたものです。
この違いを押さえておくと、還暦がなぜ12年ではなく60年で巡ってくるのかも見えてきます。十と十二の組み合わせが一巡するのに60年かかるからです。
06|自分の生まれ年から広げてみる
十二支は、十二種類の動物というだけではなく、時間と方位を十二に分けて表す記号の体系です。動物の説話は入口として残しつつ、暦・時刻・方位・五行とのつながりを押さえると、本来の使い道が見えてきます。
まずは自分の生まれ年の十二支が、方位ではどこに当たり、五行では何に配当されるかを確かめてみてください。地図や古典の中で同じ字に出会ったとき、意味がつながって読めるようになります。