RAYNE-LAB独自モデル|現在検証中

同じように高い品質を目指す人でも、「間違ってはいけない」と考える人、「期待に応えたい」と考える人、「自分が納得できる美しさまで仕上げたい」と考える人では、手放せる基準も、響く助言も違います。

五行観測モデルでは、その行動をなぜするのか、何を得たいのか、何を避けたいのかを見る層をWHYと呼びます。WHYは能力の大きさではありません。しかし最後の布陣を、本人が「それならやれそうだ」と腹落ちする形へ整えるうえでは、とても重要な材料です。

WHYは能力の大きさではない

薪(まき)の量と、火をつける理由は別ものです。薪がたくさんあっても火をつけなければ燃えませんし、少なくても切羽詰まれば火は起こせます。WHYが扱うのは後者、つまり点火の理由のほうです。

たとえば「失敗したくない」という気持ちが強い人は、何度も確認するかもしれません。だからといって、その人が判断や精度を担う金の力を多く持っている、とは決めません。動機の強さと、持っている力の量は、別々に記録します。

WHYが左右するのは、どの力を使い始めるか、どれくらい強く使うか、どこまで続けるか、何を避けるか、どこで止まるかといった使われ方です。持っている力、動く理由、実際に出た行動は、混ぜずに分けて見ていきます。

WHYが行動に効く7つの形

動機は、次のようにいくつもの形で行動に影響します。

  • 着火:普段は出にくい力を使い始める
  • 加速:すでに動いている力をさらに強める
  • 持続:長く続ける理由になる
  • 過剰化:必要以上に同じことを続けさせる
  • 回避:特定の行動や場面を避けさせる
  • 停止:進められる状態でもブレーキをかける
  • 防衛:不安や脅威から自分を守るために力を使う

これらを合計して「WHY点数」にまとめることはしません。同じ人でも、相手や場面が変われば働く形が変わるからです。

同じ行動でも、理由は人によって違う

「何度も確認する」という行動は同じでも、その裏にある理由はさまざまです。間違いたくない人、安全を確保したい人、評価を下げたくない人、人に迷惑をかけたくない人――外から見える動きだけでは区別がつきません。

ですからWHYを確かめるときは、行動そのものではなく、その行動で何を得たいのか、何を避けたいのかを聞きます。得たいものが違えば、次に効く打ち手も変わってきます。

良い動機・悪い動機では分けない

「人の役に立ちたい」という理由は、動き出しを早くし、支援を長く続ける力になります。一方でそれが「頼まれたら断れない」という形に固まると、必要以上に抱え込む原因にもなります。同じ理由が、条件しだいで強みにも詰まりにもなるわけです。

そのためWHYは、良し悪しで採点しません。今の目的に対してその理由がどう働いているか、前へ進める向きなのか、止める向きなのかを見ます。

深掘りはどこまでするか

動機を考える材料として、エニアグラムのような理論を参考にすることがあります。ただし、最初から細かい分類をすべて当てはめようとはしません。

基本的な理由だけで目の前の行動を十分説明できるなら、そこでいったん止めます。分類を増やすことが目的ではなく、今の行動を理解して次の一手を選ぶことが目的だからです。

例:同じ「品質を上げる」でも、響く打ち手は違う

二人とも金|精緻化が自然に出やすく、成果物を何度も見直すとします。

一人は「間違ったものを出してはいけない」という理由が強い。もう一人は「自分が納得できる完成度で出したい」という理由が強い。表面の行動は似ていますが、WHYは同じではありません。

前者へ「70点で気楽に出しましょう」とだけ言っても、安全や責任への懸念が解消されなければ動きません。たとえば「重大事故につながる項目だけ100点で確認し、それ以外は80点で通す」のように、守るべき基準を明確にしたほうが納得しやすいかもしれません。

後者なら、「完成度を下げる」のではなく、「初稿と最終稿で作品づくりの段階を分ける」「こだわる箇所を先に3つ選ぶ」としたほうが、自分らしさを残したままCostを調整できるかもしれません。

WHATやFLOW上の提案が同じでも、WHYを通すことで本人が実行できる言葉と方法へ翻訳する。これがWHYを布陣に使う理由です。

WHYと「進む条件」は別に確かめる

WHYは「なぜその基準を大事にするのか」を説明する材料になります。一方で、「これが満たされないと前に進めない」という条件そのものは、実際の判断場面から拾います。

たとえば「十分に正確だと確認できるまで公開しない」という判断が毎回起きているなら、その条件が実際のブレーキを握っている可能性が高いといえます。理由を推測しただけで、進む条件まで決めつけないようにしてください。

相生・相剋やFLOWと混同しない

古典の相生(そうしょう)・相剋(そうこく)は、五行どうしの関係を表す考え方です。対してWHYは、「なぜそうしたいのか」「なぜ避けたいのか」という心理的な理由についての仮説にすぎません。

ですから「安全を守りたい理由が強いから、土が水を剋した」とは、一足飛びに結論づけません。動機が強くても、現実の場面で土的な働きが水的な考えすぎを実際に整えていなければ、相剋が起きたとは扱わないという線引きです。

FLOWとの関係も同じです。動機は五行の流れを動かしたり止めたりしますが、「この理由が強いからこの流れが起きる」と自動的には決めません。FLOWでは、何が先に起きたか、次の働きにつながったか、どこで止まったか、同じことがくり返されるかを、現実の行動から確かめます。

合わなければ、WHYの仮説を直す

立てた仮説と実際の行動が食い違ったとき、「本人が自覚していないだけ」で片づけません。質問の仕方が合っていなかったのか、場面の条件が違ったのか、別の理由が働いていたのかを見直します。

WHYも間違うことのある仮説です。現実のほうを例外扱いしないという姿勢は、モデル全体を通じて変わりません。

戦略的視点のまとめ|正しい助言より、本人が動ける形へ翻訳する

同じ行動上の課題でも、何を守りたいのか、何を得たいのか、何を避けたいのかによって、受け入れやすい打ち手は変わります。理論上は正しい提案でも、本人の動機を無視すると「分かるけれど、できない」で止まります。

戦略面では、WHATやFLOWから考えた打ち手を、その人のWHYに沿う言葉と方法へ翻訳します。動機を能力点へ加算するのではなく、「この人が納得して続けられる布陣は何か」を決める材料として使います。

自分で試せる5つの質問

  1. その行動によって、何を得たいですか?
  2. それをしなかったとき、何が起きるのが嫌ですか?
  3. どんな条件がそろうと、急に動きやすくなりますか?
  4. どんな場面では、普段できることを避けますか?
  5. 同じ行動を続けるとき、何を守ろうとしていますか?

WHYは「正解を変える」のではなく「届く形へ翻訳する」

WHATが「何が自然に出やすいか」、HOWが「どう考えやすいか」を見る層だとすれば、WHYは「なぜその行動を選ぶのか、何なら本人が納得できるか」を見る層です。

動機そのものを五行の能力点に足す必要はありません。むしろ、FLOWやNOWから考えた打ち手を、本人が受け入れて続けられる形へ翻訳するために使います。

まずは最近よく繰り返した行動を一つ選び、「それによって何を守りたかったか」「何を得たかったか」「何を避けたかったか」を書き出してみてください。同じ行動の裏にある理由が見えると、次の布陣の作り方が変わります。

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※五行観測モデルはRayne-Lab独自のモデルで、現在検証中です。WHYは能力の大きさに足し算せず、古典五行の相生・相剋とも同じものとしては扱いません。実際の行動と照らし合わせながら更新していく、動機についての仮説として読んでください。