境内を歩いていると、四方が開けた舞台のような建物に出会うことがあります。祭りの日以外は静かですが、そこが神楽殿(かぐらでん)です。
神楽殿とは、神社で神楽をはじめ、舞や音楽といった奉納芸能を奏するために設けられる建物のことをいいます。どの神社にも必ずあるわけではなく、置かれる場所も呼び名も使われ方も、神社ごとにさまざまです。
神楽(かぐら)は、神前に奉納される歌舞や音楽をまとめて指す言葉です。宮中で行われる御神楽(みかぐら)、各神社の巫女神楽、地域に伝わる里神楽(さとかぐら)など…
神社によって「神楽殿」「舞殿(まいどの)」「神楽所」など、呼び名はいろいろです。似たような舞台状の建物でも、祭礼、奉納、祈祷と、実際の使われ方はそれぞれ違います。
本殿の向かい側に建つ例もあれば、参道の近くに置かれる例もあります。独立した建物を持たず、拝殿などで奉納を行う神社も少なくありません。
現代の巫女神楽では神楽鈴が用いられることがあり、その音は祓いや清めと結びつけて説明されます。一方で、歴史の中で語られてきた神憑(かみがか)りの巫女像と、現代…
神楽殿の意味は、建物そのものを眺めるより、どの祭礼で、誰が、何を奉納するのかを知るとぐっと分かりやすくなります。地域の里神楽や獅子舞、舞楽が文化財に指定され…
01|そもそも神楽とは何か
神楽(かぐら)は、神前に奉納される歌舞や音楽をまとめて指す言葉です。宮中で行われる御神楽(みかぐら)、各神社の巫女神楽、地域に伝わる里神楽(さとかぐら)など、歴史も形式も一様ではありません。
「神楽といえば巫女が鈴を持って舞うもの」という印象を持たれがちですが、それは数ある形のうちの一つです。能楽や舞楽、地域の芸能といった別系統のものが神前へ奉納される場合もあります。
神前へ奉納される歌舞・音楽には、歴史と地域によって複数の系統があります。
宮中で伝承される神楽。
神社祭祀の中で奉納される舞や音楽。
地域に伝わる神楽や獅子舞など、多様な奉納芸能。
02|神楽殿と舞殿は同じ?
神社によって「神楽殿」「舞殿(まいどの)」「神楽所」など、呼び名はいろいろです。似たような舞台状の建物でも、祭礼、奉納、祈祷と、実際の使われ方はそれぞれ違います。
ですから名称だけを見て「ここでは必ず巫女舞をするはずだ」と考えたり、「神楽殿がないから神楽は奉納されない」と決めてしまったりするのは早合点です。建物の名前は、中で行われることを保証しません。
03|位置も形も決まっていない
本殿の向かい側に建つ例もあれば、参道の近くに置かれる例もあります。独立した建物を持たず、拝殿などで奉納を行う神社も少なくありません。
建築の名称から、その神社の祭祀の内容や規模、格を読み取ろうとするのは避けたほうがよいでしょう。神楽殿の有無は、神社の大きさを測る物差しにはなりません。
04|神楽鈴と巫女舞
現代の巫女神楽では神楽鈴が用いられることがあり、その音は祓いや清めと結びつけて説明されます。一方で、歴史の中で語られてきた神憑(かみがか)りの巫女像と、現代の奉納舞を担う巫女とを、そのまま重ねて理解するのは適切ではありません。
拝殿前の本坪鈴(ほんつぼすず)と神楽鈴の違いについては、神社の鈴とは?で分けて説明しています。
05|祭りの日に行くと分かること
神楽殿の意味は、建物そのものを眺めるより、どの祭礼で、誰が、何を奉納するのかを知るとぐっと分かりやすくなります。地域の里神楽や獅子舞、舞楽が文化財に指定されている場合は、神社の公式情報に加えて、自治体や保存会が残している記録も手がかりになります。
06|訪れる前に確かめておきたいこと
神楽殿を目当てに出かけるなら、まず境内のどこにあるのかと、その神社での正式な呼び名を調べておきましょう。あわせて、どんな芸能がいつ奉納されるのか、例祭との関係、当日は公開されるのか、撮影や観覧に決まりはあるのかを確認しておくと安心です。文化財に指定されていれば、自治体の資料に詳しい解説が載っていることもあります。祭りの日に合わせて足を運べば、静かな舞台がまったく違う顔を見せてくれます。