拝殿の前に立ち、太い綱を振って鈴を鳴らす。参拝の所作のなかでも、音が出る分だけ印象に残る場面です。この大きな鈴は本坪鈴(ほんつぼすず)などと呼ばれ、神社本庁は、鈴の清々しい音に参拝者を祓い清め、神霊の発動を願う意味があると説明しています。

「神さまを呼び出すベル」と言い換えると分かりやすい反面、祭祀としての意味は狭くなってしまいます。音による清めと、神前へ気持ちを切り替える所作。この二つを合わせて見ると、鈴の役割がつかみやすくなります。

この記事の整理軸
01拝殿前に吊られた本坪鈴

賽銭箱の上あたりに吊られ、鈴緒(すずお)という太い綱や布を動かして鳴らす形がよく知られています。参拝者は鈴を鳴らしてから拝礼に移ります。

02鈴の音は何を表しているのか

神道の祭祀では、音が場を清め、神前の時間へ切り替えるはたらきと結びつけて語られることがあります。鈴についても、祓い清めと神霊への働きかけという複数の意味が説明されてきました。

03神楽鈴との違い

巫女舞などで手に持って用いる鈴は、神楽鈴(かぐらすず)と呼ばれます。拝殿前の本坪鈴とは、形も、使う人も、使われる場面も違います。

04「魔除けの音」という説明だけでは足りない

民俗や宗教の文化のなかでは、鈴の音を魔除け・祓いと結びつける説明が数多くあります。それ自体は古くからある理解で、間違いというわけではありません。

05鈴緒に触れられないときもある

感染症への対応、修繕、混雑、安全管理といった理由で、鈴緒を外している神社や、使用を止めている神社もあります。訪ねてみたら綱がなかった、ということは珍しくありません。

01|拝殿前に吊られた本坪鈴

賽銭箱の上あたりに吊られ、鈴緒(すずお)という太い綱や布を動かして鳴らす形がよく知られています。参拝者は鈴を鳴らしてから拝礼に移ります。

ただし、すべての神社に鈴があるわけではありません。鈴のない社殿でも参拝は成り立ちますから、鳴らさなければ神さまに気づいてもらえない、と気にする必要はないのです。

02|鈴の音は何を表しているのか

神道の祭祀では、音が場を清め、神前の時間へ切り替えるはたらきと結びつけて語られることがあります。鈴についても、祓い清めと神霊への働きかけという複数の意味が説明されてきました。

ですから、大きな音を出すこと自体が目的ではありません。混雑しているときや、神社側から案内が出ているときは、静かに参拝するほうを選んでください。

03|神楽鈴との違い

巫女舞などで手に持って用いる鈴は、神楽鈴(かぐらすず)と呼ばれます。拝殿前の本坪鈴とは、形も、使う人も、使われる場面も違います。

  • 本坪鈴:参拝者が拝殿前などで鳴らす鈴
  • 神楽鈴:神楽や巫女舞といった奉納・祭祀の場で用いる鈴

どちらも音による清浄さ・祭祀性と関わりますが、同じ祭具ではありません。神楽を見る機会があれば、鈴の形と鳴らし方の違いに目を向けてみると面白いところです。

本坪鈴と神楽鈴は「鳴らす人」と「場面」が違う

どちらも祭祀性を持つ鈴ですが、同じ祭具として扱いません。

本坪鈴参拝者が拝殿前などで鳴らす

鈴緒などを動かして鳴らし、その後の拝礼へつなげます。

神楽鈴神楽・巫女舞などで用いる

奉納芸能や祭祀の中で、手に持って用いられる鈴です。

04|「魔除けの音」という説明だけでは足りない

民俗や宗教の文化のなかでは、鈴の音を魔除け・祓いと結びつける説明が数多くあります。それ自体は古くからある理解で、間違いというわけではありません。

ただ、神社の鈴を悪霊を追い払う装置のように扱うと、参拝・奉納・祭祀という文脈が抜け落ちてしまいます。神社が公式に説明している内容、民俗的な解釈、現代の創作に出てくる表現は、それぞれ出どころが違うものとして読み分けると混乱しません。

05|鈴緒に触れられないときもある

感染症への対応、修繕、混雑、安全管理といった理由で、鈴緒を外している神社や、使用を止めている神社もあります。訪ねてみたら綱がなかった、ということは珍しくありません。

その場合も、鈴を鳴らせないから参拝できないということにはなりません。現地の案内と神社の運用に従って、そのまま拝礼へ進んで差し支えありません。

06|次の参拝で試したいこと

今度神社を訪ねたら、鈴を鳴らす前に一呼吸おいてみてください。音が消えるまで待ってから拝礼に移ると、日常から神前へ切り替わる感覚がつかめます。鈴緒が外されていたり、そもそも鈴がなかったりする場合も、手水と拝礼の所作はいつもどおりで構いません。

07|参考・出典