「本業か挑戦か」の二択にしない

転職したい。でも今の収入も必要。

新規事業を試したい。でも既存顧客も守らなければならない。

副業を育てたい。でも全部を副業へ振るのは怖い。

こうした場面で、ゼロか百かの判断をすると動けなくなります。

そこで使えるのがポートフォリオ思考です。

複数の活動へ同じように資源を配るのではなく、役割を分けて持つ考え方です。

ポートフォリオは投資だけの言葉ではない

投資では、性質の異なる資産へ分散します。

事業では、成熟事業・成長事業・新規探索などを分けて管理することがあります。

個人でも同じように、

  • 生活を支える本業
  • 将来の柱を育てる学習
  • 小さく試す副業

の役割を分けると考えやすくなります。

大切なのは、全部を同じ基準で評価しないことです。

探索段階の副業へ、本業と同じ売上を求めれば早く切りすぎます。逆に本業を「まだ実験中だから」で曖昧に運用すれば生活が不安定になります。

孫子の「正」と「奇」

兵勢篇には、戦いを正と奇の組み合わせとして捉える記述があります。

凡戰者、以正合、以奇勝。

大意は、正で相対し、奇で勝つ。

ここで正は単純に「正しい」、奇は「奇抜」という意味ではありません。

定石・正面・通常の力と、変化・予備・意表を突く力の組み合わせとして読むほうが近いでしょう。

兵勢篇はさらに、正と奇の組み合わせは尽きないと述べます。

本業を「正」、実験を「奇」として持つ

個人のキャリアで考えてみます。

正

  • 現在の収入
  • 既存顧客
  • すでに再現性のある仕事
  • 維持に必要な活動

奇

  • 新しいサービス
  • 新しい発信
  • 新しい資格
  • 小規模な実験

全部を奇にすると、生活が不安定になります。

全部を正にすると、変化への適応が遅れます。

戦略は「どちらか」ではなく、今どの比率で持つかです。

ポートフォリオで重要なのは「撤退条件」

実験は、始める条件より終わる条件が曖昧になりやすいものです。

半年続けたSNS。売れないサービス。効果の見えない勉強。

投入した時間が惜しくて続けます。

そこで、開始時に次を決めます。

  • 投入時間
  • 投入予算
  • 検証期間
  • 継続条件
  • 撤退条件

ポートフォリオは「何でも少しずつやる」方法ではありません。

資源配分を管理する方法です。

五行観測モデルでは「布陣」を時間軸で持つ

第6層「布陣」は、一つの役割だけを決めるものではありません。

同じ人が、

  • 80%を安定運用
  • 15%を成長
  • 5%を探索

のように複数の役割を持つこともあります。

割合に正解はありません。

現在状態、負荷、期限、目的によって変わります。

重要なのは、「全部同じ優先度」にしないことです。

3分ワーク|正・奇・停止の3箱へ分ける

今の活動を三つへ分けてください。

正|守る

生活・事業を維持するもの。

奇|試す

将来の可能性を検証するもの。

停止|今は置かない

価値はあるが、今は資源を置かないもの。

最後に、時間配分を合計100%で置きます。

数字に厳密さは不要です。

「自分は実験へ40%も使っていた」と気づくだけでも、布陣は変わります。

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出典・研究メモ

※本記事の「正=本業、奇=実験」はRayne-Labによる現代向けの比喩的応用であり、原典の固定的な対応関係ではありません。