Big Fiveを調べていると、OCEANとは別に SLOAN、あるいは RCUEI / SLOAI / RLUEN のような5文字コードを見かけることがあります。

「Big Fiveなのに、なぜ急にタイプコードが出てくるのか?」 「OCEANとSLOANは別の診断なのか?」 「MBTIのように32タイプへ分けるのか?」

初見ではかなり分かりにくいところです。

先に整理すると、OCEANはBig Fiveの5特性名を覚えるための代表的な略称です。一方、SLOANは、SimilarMindsのGlobal Fiveで使われている5文字の表記法です。

同じ5つの広い性格特性を参照していますが、表現の目的が違います。

Rayne-LabではSLOANを独自診断として実装しません。Big Fiveの結果をタイプ風に要約する表記法として紹介し、元の連続スコアを優先して読む方針です。

まずOCEANを確認する

Big Fiveで広く使われる5特性は、次の頭文字から OCEAN と呼ばれます。

OCEAN 特性 主に見るもの
O Openness to Experience(開放性) 新しい経験・発想・美的・知的探索への開かれ方
C Conscientiousness(誠実性) 計画性・責任感・自己統制・秩序
E Extraversion(外向性) 社会的刺激・活動性・表出へ向かう程度
A Agreeableness(協調性) 配慮・協力・信頼・対人姿勢
N Neuroticism(神経症傾向) 不安・緊張・否定的情動への反応しやすさ

ここでの基本は、5つを連続量として見ることです。

たとえば外向性なら「外向型/内向型」の二択ではなく、高い・低い・中間という幅があります。開放性や協調性も同じです。

SLOANは「特性名」ではなく「両極の呼び名」を並べる

SimilarMindsのGlobal Fiveでは、5つの軸それぞれに両極の名称を付けています。

位置 SLOANの両極 対応するBig Five系の軸
1文字目 Social / Reserved 外向性
2文字目 Limbic / Calm 情緒安定性 ↔ 神経症傾向
3文字目 Organized / Unstructured 誠実性・秩序性
4文字目 Accommodating / Egocentric 協調性
5文字目 Non-curious / Inquisitive 開放性・知的好奇心

この5つを順に並べると、S-L-O-A-Nという文字列になります。

ただし、実際の結果コードが必ず SLOAN になるわけではありません。

各軸でどちら側に寄るかによって、

  • SocialならS、ReservedならR
  • LimbicならL、CalmならC
  • OrganizedならO、UnstructuredならU
  • AccommodatingならA、EgocentricならE
  • Non-curiousならN、InquisitiveならI

のどちらかを選び、5文字コードにします。

たとえば RCUEI なら、

  • R = Reserved
  • C = Calm
  • U = Unstructured
  • E = Egocentric
  • I = Inquisitive

という読み方です。

OCEANとSLOANでは「並び順」も違う

ここが混乱しやすいポイントです。

OCEANはその名の通り、

O → C → E → A → N

の順です。

SLOAN表記は、

外向性 → 情緒安定性/神経症傾向 → 誠実性 → 協調性 → 開放性

の順です。

つまりBig Fiveの軸をそのまま別名にしただけでなく、並び順まで変えています。

OCEANの結果を見ながらSLOANへ変換しようとすると、この順序違いで混乱しやすくなります。

なぜSLOANは32タイプになるのか

5つの位置それぞれに2つの極があるため、単純に組み合わせると

2 × 2 × 2 × 2 × 2 = 32

通りです。

そのためSLOANは、見た目上は「32タイプの性格分類」のように扱えます。

ただし、ここでBig Five本来の考え方との差が出ます。

Big Fiveは本来、各特性を連続量として扱います。外向性が51の人と95の人を同じ「S」に入れれば、かなりの情報が失われます。同じように49と1を同じ「R」とまとめることもできます。

つまりSLOANコードは、連続したプロフィールを読みやすい5文字に圧縮したものです。

32タイプが自然界にくっきり存在する、と証明した分類ではありません。

SimilarMinds自身も、32タイプを「人格空間を覆う32のゾーン」のように説明し、中間に位置する人が必ずしも一つのタイプへきれいに当てはまるわけではないとしています。

「SLOAN」というコードそのものも存在する

さらにややこしいのですが、SLOANは表記法の名前であると同時に、一つの結果コードにもなり得ます。

SLOANという5文字をそのまま読むと、

  • S = Social
  • L = Limbic
  • O = Organized
  • A = Accommodating
  • N = Non-curious

という一つのプロフィールです。

「SLOAN診断でSLOANだった」という文章も成立してしまいます。

初めて見ると「システム名と結果名が同じ?」となるので、Rayne-Labでは文章上、

  • SLOAN表記
  • SLOANコード
  • SLOANというコード

をなるべく分けて書きます。

SLOAN+では「強さ」や「中間」を少し残せる

SimilarMindsには SLOAN+ という拡張表記もあります。

SLOAN+では、

  • 大文字 = 強い傾向
  • 小文字 = 弱めの傾向
  • x = 中間
  • 縦棒で囲む = primary typeとして強調

のような表現を使います。

たとえば単純な5文字コードだけでは「ほんの少しReservedなのか、かなりReservedなのか」が分かりません。

SLOAN+は、こうした情報損失を少し減らそうとする表記です。

ただし、どの程度から大文字・小文字・xになるのかは、利用するサービスや実装のルールを確認する必要があります。Rayne-LabではSLOAN+の独自判定は行いません。

「Limbic」「Egocentric」「Non-curious」は価値判断の言葉ではない

SLOANの両極名には、かなり強く聞こえる言葉があります。

特に、

  • Limbic
  • Egocentric
  • Non-curious

は、日本語に直訳するとネガティブに感じやすい言葉です。

しかし、SLOAN表記ではあくまで軸の一方を呼ぶラベルです。

たとえばEgocentric側だから「自己中心的で性格が悪い」と判定するものではありません。協調性が低めで、対立時に自分の判断や利害を優先しやすい傾向を、Global Five側の語彙で表しているにすぎません。

同様にNon-curiousも「知的好奇心がない人」と人格全体を断定するものではありません。

ここは、Big Fiveのスコアを長所・短所へ直接変換しないのと同じ注意が必要です。

OCEANとSLOANのどちらを優先して読むべきか

Rayne-Labでは、OCEAN側の連続スコアを優先します。

理由は単純で、Big Fiveの強みは「中間を中間のまま扱える」ことだからです。

SLOANは、

  • 5軸の組み合わせを一目で見る
  • SNSやプロフィールで短く表記する
  • 自分の全体像を覚えやすくする

には便利です。

一方で、

  • どれくらい強くその側へ寄っているか
  • 中央付近なのか
  • 再検査で境界をまたいだだけなのか

という情報は削られます。

たとえば外向性が49から51へ変わっただけで、SLOANコードの1文字目はRからSへ変わる可能性があります。しかし本人の性格が突然別人になったわけではありません。

コードが変わったことより、元スコアがどれくらい動いたかを見るほうがBig Fiveらしい読み方です。

MBTIのように読むと何が起きる?

SLOANは5文字コードなので、MBTIの4文字コードに慣れた人ほど、

RCUEIの人はこういう性格

という固定タイプ説明に引っ張られやすくなります。

ただしBig Fiveでは、同じRCUEIでも各軸の強さがかなり違う人が同じコードに入ります。

また、Big FiveとMBTI系の指標には一部相関が報告されていますが、一対一に変換できるわけではありません。

「このSLOANなら必ずINTP」 「このMBTIならSLOANはこれ」

という変換表は、説明を簡単にする代わりに個人差をかなり捨てます。

Rayne-Labでは、SLOANからMBTIやエニアグラムを逆算する使い方はしません。

SLOANは学術心理学の標準表記なのか

ここも重要です。

Big FiveやFive-Factor Modelは性格心理学で広く研究されていますが、SLOANという5文字表記そのものがBig Five研究全体の標準記法というわけではありません。

SLOAN notationは、SimilarMindsがGlobal Fiveの結果を表すために使っている表記です。

研究論文では、通常はExtraversion、Neuroticism、Conscientiousness、Agreeableness、Opennessといった特性名や、その尺度得点が使われます。

したがって、

Big Five = OCEAN = SLOANという完全に同一の公式名称

と理解するのは正確ではありません。

より安全に言うなら、

Big Fiveの5軸を、Global Five側で両極ラベルに置き換え、5文字コード化した表記がSLOAN

と整理できます。

Rayne-Labでは診断を作らない

Rayne-Labでは、SLOAN専用診断を作る予定はありません。

理由は、Big Fiveの連続スコアをすでに持っているなら、それをさらに二分して32タイプへ変換することが、必ずしも情報を増やすわけではないからです。

むしろ、

  1. まずOCEANの5軸を連続量で読む
  2. 必要ならSLOANコードで全体像を短く表現する
  3. 境界付近の軸はコードより元スコアを優先する

という順で十分です。

SLOANは診断の主役ではなく、Big Fiveを理解するための補助表現として扱います。

覚えておけば十分なこと

SLOANを見かけたら、まず次の4点だけ押さえれば十分です。

  • OCEANは5特性名の頭文字
  • SLOANはGlobal Fiveで使われる5文字表記
  • 5軸の高低を二分するので32通りになる
  • Big Five本来の連続スコアより情報量は少ない

5文字コードは便利ですが、コードのほうを性格そのものだと思わないこと。

これが、Big Fiveらしい使い方を崩さずSLOANを理解する一番大切なポイントです。

合わせて読みたい

Big Fiveの5軸そのものを確認したい場合は、まずBig Fiveとは?5つの性格特性をタイプではなく連続量で見るへ戻ってください。

32コードを一覧から探す場合は、SLOAN 32タイプ早見表へ進んでください。

さらに、32コードは最初の2軸で4グループに分けて詳しく比較できます。

参考・出典:SimilarMinds — Big Five / Global Five / SLOAN Personality System / APA Dictionary of Psychology — Big Five personality model / APA Dictionary of Psychology — Five-factor personality model
※SLOAN notationはSimilarMindsのGlobal Fiveで用いられる表記です。Big Five研究全体の標準的な学術記法ではありません。Rayne-LabではSLOAN専用診断を提供せず、Big Fiveの連続スコアを理解するための補助表現として紹介します。