東京都西東京市にある田無神社は、五色の龍を「五龍神(ごりゅうじん)」として祀る神社です。金・青・赤・白・黒の龍が境内に配され、その並び方が陰陽五行(いんようごぎょう)の考え方と結びつけて説明されています。

この記事では、田無神社がどんな神社なのか、五龍神と五行がどう対応しているのか、そして神社が長く続けてきた地域文化の発信までをたどります。参拝の前に知っておくと、境内の見え方が少し変わるはずです。

この記事の整理軸
01龍神を祀ってきた神社としての歩み

田無神社公式では、創建は鎌倉時代後期とされ、当初は尉殿大権現(じょうどのだいごんげん)として龍神を祀っていたと伝えます。江戸初期の地域移動や社地の変遷を経て…

02五龍神と五行――色と方位の対応

田無神社公式は、級長津彦命(しなつひこのみこと)・級長戸辺命(しなとべのみこと)を金龍として祀り、境内に黒龍・白龍・赤龍・青龍を配して「五龍神」として信仰し…

03ほかの「五行の神さま」とは体系が違う

同じ五行という語彙を使っていても、田無神社の五龍神と、古代中国の四神や五方龍王、六壬神課(りくじんしんか)の神将は別々の神格体系です。成立した時期も、祀られ…

04地域史と自然を記録する場としての活動

田無神社公式には、境内の龍神池や農園、社報、地域史、文化財、自然観察といった情報が掲載されています。社務日誌では、生態調査や境内で見つかった生き物についても…

05絵馬デザインコンテストという開き方

田無神社では、一般参加型の絵馬デザインコンテストを続けて開催しています。2026年には第10回が実施され、入賞作品を翌年の絵馬デザインとして採用する仕組みが…

01|龍神を祀ってきた神社としての歩み

田無神社公式では、創建は鎌倉時代後期とされ、当初は尉殿大権現(じょうどのだいごんげん)として龍神を祀っていたと伝えます。江戸初期の地域移動や社地の変遷を経て、明治5年(1872)に田無神社へ改称されました。

現在の主祭神は大国主命(おおくにぬしのみこと)で、ほかにも複数の神々が祀られています。社名も祭神の構成も長い時間の中で変わってきたため、創建当初から今と同じ五龍神の形だったと考えるのは早すぎます。この移り変わりを追うこと自体が、田無神社を知る面白さの一つです。

02|五龍神と五行――色と方位の対応

田無神社公式は、級長津彦命(しなつひこのみこと)・級長戸辺命(しなとべのみこと)を金龍として祀り、境内に黒龍・白龍・赤龍・青龍を配して「五龍神」として信仰していると説明しています。

五色は陰陽五行説に基づくもので、青=木・東、赤=火・南、黄(金龍の中心的な表現)=土・中央、白=金・西、黒=水・北という対応を持ちます。境内を歩くときに、龍の色といま自分が立っている方角を照らし合わせてみると、この配置の意味がつかみやすくなります。

田無神社の五龍神は五行・五方との対応で見る

五色・方位・五行の対応を整理しつつ、四神や六壬神課の神将とは別体系として読みます。

東青龍|木

青=木・東の対応。

南赤龍|火

赤=火・南の対応。

中央金龍|土

黄を中心的表現とし、土・中央に対応します。

西白龍|金

白=金・西の対応。

北黒龍|水

黒=水・北の対応。

03|ほかの「五行の神さま」とは体系が違う

同じ五行という語彙を使っていても、田無神社の五龍神と、古代中国の四神や五方龍王、六壬神課(りくじんしんか)の神将は別々の神格体系です。成立した時期も、祀られてきた文脈も重なりません。

調べものをすると、同じ五色でも出どころの違う話が混ざりやすいところです。まずは田無神社自身の説明を確かめ、そのうえでほかの五行の話と見比べると混乱しません。五色・方位・龍という組み合わせは、五行思想が現代の神社空間でどう目に見える形になったかを知る好例でもあります。

04|地域史と自然を記録する場としての活動

田無神社公式には、境内の龍神池や農園、社報、地域史、文化財、自然観察といった情報が掲載されています。社務日誌では、生態調査や境内で見つかった生き物についても継続的に発信されています。

祈願の場であると同時に、地域の歴史や自然環境を記録して共有する文化拠点としての姿を見せている点が特徴です。参拝の前後に公式サイトの記事をのぞいておくと、境内の草木や池の生き物にも自然と目が向きます。

05|絵馬デザインコンテストという開き方

田無神社では、一般参加型の絵馬デザインコンテストを続けて開催しています。2026年には第10回が実施され、入賞作品を翌年の絵馬デザインとして採用する仕組みが公式に案内されています。

伝統的な授与品である絵馬に、公募とデザインという現代的な入口を組み合わせた取り組みです。絵を描くのが好きな人であれば、参拝のついでに応募要項をのぞいてみるのも良いでしょう。

06|参拝のときに見ておきたいところ

五龍神の色と方位を意識しながら境内を一周すると、田無神社という空間の組み立て方がよく分かります。祭神の由緒や社名の変遷は公式サイトの「ご祭神」のページにまとめられているので、出かける前に一読しておくと、目の前の龍がぐっと読み解きやすくなります。

07|主な参照資料

  • 田無神社公式「ご祭神」
    https://www.tanashijinja.or.jp/about/gosaijin/
  • 田無神社公式
    https://www.tanashijinja.or.jp/
  • 田無神社公式「第10回 絵馬デザインコンテスト」
    https://www.tanashijinja.or.jp/emacon/
  • Rayne-Lab「00_日本全国神社MAP_リサーチ台帳」SHR-005

※境内の五色と五行の対応は、田無神社公式の説明にもとづくものです。ほかの五行思想の体系をそのまま当てはめた説明ではありません。