六月の終わりに神社を訪ねると、境内に大きな草の輪が立てられていることがあります。あれは大祓(おおはらえ)という祭祀に伴う茅の輪(ちのわ)です。大祓は、罪や過ち、穢れを祓い清め、暮らしの節目を整える神道の祭祀で、多くの神社では6月と12月に行われます。
この記事では、なぜ半年ごとに行うのか、人形(ひとがた)や茅の輪は何をするものなのか、大祓詞(おおはらえのことば)とはどんな祝詞なのかを順に見ていきます。
6月の大祓を夏越の祓(なごしのはらえ)、12月の大祓を年越の祓(としこしのはらえ)と呼びます。半年ごとの節目に、日々の暮らしの中で積み重なった罪穢れを祓い、…
大祓でいう罪や穢れは、現代法でいう犯罪だけを指す言葉ではありません。古代の祭祀では、共同体の秩序や清らかさを損なうものを広く整理する言葉として現れます。
大祓では、人の形に切った紙などの人形を用いる神社があります。氏名を書く、体を撫でる、息を吹きかける、といった作法が案内されることがありますが、具体的なやり方…
夏越の祓では、茅で作られた大きな輪をくぐる茅の輪くぐりを行う神社があります。茅の輪の由来は、蘇民将来(そみんしょうらい)の説話と関連づけて語られることがあります。
『延喜式』には大祓に関わる祝詞が収められており、古代の祭祀を知るうえで重要な資料になっています。現在も「大祓詞」として奏上されますが、祭典の進め方や文言の扱…
01|六月と十二月に行う理由
6月の大祓を夏越の祓(なごしのはらえ)、12月の大祓を年越の祓(としこしのはらえ)と呼びます。半年ごとの節目に、日々の暮らしの中で積み重なった罪穢れを祓い、新しい期間へ向かうための区切りです。
現代では茅の輪くぐりが特に目立ちますが、大祓を「茅の輪のイベント」に縮めてしまうと、祭祀そのものの姿が見えなくなります。輪の前後で行われている祓いの流れにも目を向けてみてください。
茅の輪だけではなく、罪・穢れを清めて次の期間へ進む祭祀全体として見ます。
半年の節目で祓い清める。茅の輪を設ける神社もあります。
人形・祝詞などを通して生活の区切りを整えます。
一年後半の節目を祓い、新しい年へ向かいます。
02|「罪・穢れ」は犯罪のことではない
大祓でいう罪や穢れは、現代法でいう犯罪だけを指す言葉ではありません。古代の祭祀では、共同体の秩序や清らかさを損なうものを広く整理する言葉として現れます。
ですから、大祓を「悪いことをした人の罰を消す儀式」と説明するのは正確ではありません。祓いは処罰ではなく、清めて再び歩き出すための祭祀です。
03|人形は何をするものか
大祓では、人の形に切った紙などの人形を用いる神社があります。氏名を書く、体を撫でる、息を吹きかける、といった作法が案内されることがありますが、具体的なやり方は神社によって違います。
人形は祓いの媒体として用いられるものです。全国一律の手順があると思い込まず、授与所や掲示に書かれたその神社の案内に従うのが確実です。
04|茅の輪くぐりとの関係
夏越の祓では、茅で作られた大きな輪をくぐる茅の輪くぐりを行う神社があります。茅の輪の由来は、蘇民将来(そみんしょうらい)の説話と関連づけて語られることがあります。
ただし、すべての大祓で必ず茅の輪が設けられるわけではありません。大祓に伴う代表的な実践の一つ、という位置づけで見ておくとよいでしょう。
05|大祓詞と『延喜式』
『延喜式』には大祓に関わる祝詞が収められており、古代の祭祀を知るうえで重要な資料になっています。現在も「大祓詞」として奏上されますが、祭典の進め方や文言の扱いには神社ごとの差があります。
古代の祝詞の本文と、現代の神社の祭典とが、まったく同じ形で続いてきたと考えるのは単純化しすぎです。連続している部分と、時代の中で整えられた部分があります。
06|「除霊」とは別のもの
大祓は、霊的な存在を追い払うことだけを目的とした行事ではありません。神道の祓いとして、罪穢れを清め、個人や共同体の節目を整えるための祭祀です。
ホラーやスピリチュアルの語彙だけで説明すると、本来の位置づけから離れてしまいます。清めと再出発という軸で見ると、6月と12月に行う意味も腑に落ちます。
07|参列してみたいと思ったら
大祓は、半年ごとに罪穢れを祓い、暮らしの区切りを整える祭祀です。夏越の祓と年越の祓、人形、茅の輪、大祓詞といった要素がありますが、実際の進め方は神社によって異なります。
参列したい場合は、6月・12月が近づいたころに、近くの神社の公式サイトや境内の掲示を確かめてみてください。人形の受付が事前に始まっている神社も多く、日程を先に知っておくと参加しやすくなります。
08|主な参照
- 『延喜式』巻八 祝詞
- 神社本庁「大祓」
- 神社本庁「祝詞」